印鑑どこまで使える?
われわれは本格的にものを考えるときには、必ずこれらを思考の道具として使っている。
視点は、われわれの間では非常に共通性があると同時に、その共通性の中に個人性が見られる。
組織の中の、「頭がいい」と言われている人、「できる」と言われている人、「分析力がある」と言われている人、「企画、着想力がある」と言われている人の特徴を分析すると、たいてい、こんな結果が出る。
・物事を順序立てて考えたり、説明したりする。
・物事の同質的な面と、異なる面に注目している。
・定例的なものと、例外的なものを区別して考えている。
・考えることに熱心であったり、他の人の考えたことを熱心に聞く。
自分の発想や思考力を強化したいと考えている人は、一般に、以上の特徴のうち、深く広い知識が必要であることに着目して、読書やセミナーへの参加を通じて、それを拡げようと努力している。
もちろん、いいことである。
だが、この中で、特に私が注目してほしいと思うのは、先に述べた「ものを考える視点」である。
これは構想力の強化のためには欠かせない。
この視点の使い方の例を挙げよう。
これは主題を把握し、内容を規定するやり方である。
この視点の活用に熟達すると、考える速度や結論を出すのが速くなる。
視点群でコンセプトを明らかにする以下は、ある大学で視点群を記憶させた後に、五分以内という条件で出した課題への解答である。
シングル・マンションとはどういうものかを説明してください。
まず、定義風にまとめたもの。
〉性別、年齢などと無関係に(条件)、一人で生活するための必要な機能、即ち部屋、台所、トイレを(機能)、スムーズに利用できるようにレイアウトされ(構造)、快適な日常生活を過ごせるように(要因)、設計され、建てられたもの(状態)。
次に、説明風に述べたもの。
)シングル・マンションの機能は一人の人聞が十分に生活でき、かっ、ある程度の豪華さを備えていることであり、構造としては、コンクリートでできているのが普通であり、外見は普通のマンション並みであるが、部屋数は一つで、台所、パス・トイレっきというのがこのタイプのマンションの条件である。
こういうものができた要因は、一人暮らしの人問、特に若者や、単身赴任者の激増などが挙げられ、現在でも、シングル・マンションは増加している状態である。
こういった増加の過程は、東京が大都市として発展したことや、生活水準の向上などが挙げられる。
存在する範囲はおもに大都市と呼ばれるところであり、建物としての水準は、自分が中流であるという意識できる程度でよい。
六本木について述べてください。
以下は女子学生がまとめたもの。
まとめるスピードは一番速かった。
高校生や大学生のイケイケねえちゃんを楽しませる機能を持ち、ディスコや、クラブ等の構造からなる。
条件としては、新宿や渋谷などの、中学生でも入れるような庖とは違い、オットナーみたいなフンイキを必要とする。
誰もが、おしゃれでトレンディーでなければならない。
大学生のねえちゃんが個性的でなくなったのは、ねこもしゃくしも、六本木に通うことが要因である。
現在の状態は、高校生も、化粧をし、踊り、朝帰りする。
そこでは黒人の真似をする男や、トレッドへアのレゲエまがいの男がいるようだ。
やはり、新宿、渋谷と盛り上がっては、次の新しい開拓地、それもオッシャレーなところを探そうとして六本木へきたこの過程は、六本木はガキの溜まり場ね、と言っている大人ぶりのOLたちによって、次に銀座方面に流れる気配を持っている。
とにかく、そこでの女性の見てくれの水準は、日本で指折りだろうが、中身のほうはしかし、私は六本木で遊んだことも、行ったこともない。
こういう、情報ばかりでものが書けるのも、日本の一つの状態であろう。
(以下略)。
そこで構想の問題だが、つくり上げる過程で頻繁に起こるのは、内容、指している対象について、正確に理解し直すことである。
そんな面倒なと、思うかもしれない。
それはそうだ。
われわれが育つ過程で得たたくさんの言葉のすべてを再吟味することは、とてもできないだろう。
だが、少なくとも、経営方針、経営目標、システム、評価、分析といった仕事場における日常語は、やっておくべきだろう。
もしあなたが、技術開発の構想であろうと、コスト引き下げの構想であろうと、成功する構想を目指す限り、出発点はカギになる言葉について、「とは何か?」を、徹底して行わなければならないということである。
の領域で「コトバ、コンセプト」がある。
暖昧さを排していこう。
・未解明、混沌事象は徹底的に検討し、古いコ卜パでごまかさず、第三者にも理解できる新しいコ卜パをつくろう。
右に挙げた事項の三番目の例を、どの職場でも行われている改善活動によって示そう。
今まで、努力でコストも改善した。
業務知識も増やした。
品質もよく、職場の仕事の手順も合理化した。
次年度は、全体を見直したい。
情報問題も手掛けたい。
今やっていることも延長してやっていきたい。
さて、ネーミングをどうするか、そんなとき、適切な言葉がない。
そういう場合は、これまでやってきたことの言葉の意味・内容を探るのである。
ものの改善もすんだ、品質の問題も手掛けた、というふうに意味づけしていく。
そうして、ひと、もの、金、そして今度は情報か、という形で概念を探っていく。
そしてこれらは何のためにやったのか、仕事の生産性のためだと考えを進める。
そこで、システムという言葉がひらめく。
「システム・プロダクティビティ−」という概念・言葉に到達する。
これなら今までのテ−マも継続できるし、情報問題も新たに加えることができる。
そこで、よし、それではSP運動なるものをやろうと考える。
そして、それから具体的な構想づくりだ。
初めにSPという言葉があったわけではない。
概念や意味を組み合わせていって、そこで言葉をつくり出したのである。
平たい言葉で言うと、ある新しい言葉をつくるときは、その前に関係する言葉の一つひとつについて、意味づけ(概念化)を徹底的にしておかなければならない。
その上でやっていないことを考える。
そして、それらのまとめとして意味(言葉)を与えるのである。
ただ、解を求めるに当たって、われわれは通常の一言葉の組み合わせに慣れすぎている。
だから、この組み合わせの仕方を変えてみるのが、ときには有効である。
この言葉の組み合わせについて点検しよう。
これから三つの思考の形式について見てもらおう。
思考形態には、大きく分ければ、追従思考、逆思考、類似思考の三つがある。
追従思考とは、ある言葉に直結した言葉、あるいは、それと連続することが習慣になっている言葉、その言葉に含まれるものを想起する思考である。
通常の場合の連想といってもよい。
論理の介入が少ないため、往々にして、過去的な思考結果を導くことが多い。
これに反して、逆思考とは、その言葉の意味するものと、逆の意味を持つ言葉を考え出す思考である。
この思考を使うことで、常識を打破し、新たな発想を促すことができる。
また、何が逆かと考える過程で、論理力を強化することができる。
そして、類似思考とは、その言葉に類似した言葉、あるいは同質の言葉を想起する思考である。
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